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●概要 ナノマテリアル領域では、カーボンナノチューブ(CNT)やグラフェンなどの構造を思いのままに操る成長技術の開拓や、 将来のナノデバイス応用に向けた新規機能を引き出す研究を進めています。そのための基礎となるナノ構造形成過程の背後にひそむ表面現象について原子レベルでの理解を進め、 自己組織化によるナノ構造形成の研究へとフィードバックしていきます。さらに、これらナノ構造体が持つバルク材料とはまったく異なるユニークな物性を活用して、 新機能ナノデバイスへと応用展開を図ります。 |
●ナノカーボン材料とは 鉛筆芯の材料でもあるグラファイトの1層を直径数nmの円筒状に丸めたものが1次元物質のカーボンナノチューブ(CNT)、 数層積み重ねたものが2次元物質のグラフェン(FLG)です。CNTやFLGは、従来の加工技術ではつくることが難しかった極めて微細な構造が自然に 形成され、しかもこれまでの材料にはない優れた性質をもっています。 そのため、これらの材料は次世代の材料として期待され、いくつかの製品は実用化されています。 しかし、PCや携帯電話などに使われる電子材料に応用するためにはそれらの構造を原子レベルで操る技術の確立が大きな課題となっています。 |
1.結晶ナノ成長核からのカーボンナノチューブ合成 カーボンナノチューブ(CNT)の電子材料応用に不可欠な構造制御技術はこれまで誰も成功していない極めて難しい課題です。 本研究では、結晶が持つ構造周期性に着目し、結晶ナノ粒子を核として成長することにより、所定の構造をもったCNTのみを自在に合成する技術の確立を目指します。 これまでに、従来の常識を打ち破る金などの新しい触媒に加え、ダイヤモンドなど固体ナノ粒子からの成長に成功しています。 さらに結晶ナノ粒子の表面構造と成長するCNTの構造を結び付けたエピタキシャル成長の可能性を探っています。 カーボンナノチューブ(CNT)の合成では、一般に高品質・高効率のCNT成長が比較的容易にできることから遷移貴金属触媒を用いた気相化学成長(CVD)法が 広く利用されています。しかしながら、不純物となる金属触媒の除去プロセスでは、酸または高温処理を行うため、合成したCNTの性能劣化を引き起こします。 ナノダイヤモンド微粒子からのCNT成長法はこの問題を解決するためも有効です。 ナノダイヤモンド微粒子をCNT成長核とすることで、金属フリー低欠陥CNTの合成が可能です。 これまでに、成長初期段階と定常成長段階でそれぞれ異なるCVD条件を適応することにより、ナノダイヤモンド微粒子を成長核としたCNT高効率成長に向けた指針を明らかにしました。 |
ナノカーボン自身が持つ構造をテンプレートとした自己組織的ボトムアッププロセスにより、 所定の構造を持った高品質ナノカーボン材料を大量に合成する技術を開拓し、 得られたナノカーボンからの新規物性発現を目指しています。 これまでに、グラフェンを成長核としたグラフェンの層数制御形成に成功し、 得られた乱層構造グラフェンから通常の数層グラフェン とは異なった輸送特性を観測しました。さらに、僅か数十nmの幅しか持たない グラフェンナノリボン(GNR)自身を核として、グラフェン層の成長や乱層構造形成を可能とし、多層化したGNRの特異な電気伝導特性を明らかにしています。 |
グラフェンの電子材料への応用には、大面積グラフェンを簡便かつ再現性良く大量に生成する手法の確立が必要不可欠です。
グラファイト単結晶粉末を化学的な処理により酸化させ、バルクから単層~数層グラフェンの薄片を剥離させるHummers方法は、
低コストで大量の酸化グラフェン薄片を製造できるため、近年高い関心を集めています。
しかし、化学剥離で得られる酸化グラフェンを電子材料へ応用するには、化学剥離で結合した酸素の除去(還元)や剥離過程で形成された欠陥などの
構造回復プロセスの導入が必須です。
本研究では、酸化グラフェンの還元・構造回復プロセスの開発や得られた還元グラフェンを用いた電界効果型トランジスタの研究を進めています。 これまでに、エタノール雰囲気中で加熱処理することにより、酸化グラフェン薄膜のπ電子系が乱層構造を保ったまま効率的に回復する現象を見出しました。 さらに、太陽光を利用した局所加熱装置の開発により、通常のCVD電気炉(~1000℃)では実現困難な超高温かつ反応性雰囲気での加熱処理を達成し、 酸化グラフェン薄膜の高結晶化を実現しました。 |
成長技術を駆使して得られた高結晶性ナノカーボン材料を利用した電子デバイスによる バイオセンサーの開発を進めています。これまでセンサに適したナノカーボン材料の合成やデバイ長など計測環境の制御により、 たんぱく質の高感度・定量検出に成功しました。 |